浄土真宗の住職、門徒総代、門徒として何をしたらいいの?

このサイトは、浄土真宗の住職、門徒総代、門徒が、それぞれの立場で抱える疑問や問題を、少しでも解決できるヒントを提供できればと思い、制作したものです。

浄土真宗と一口に言いましても、西本願寺、東本願寺をはじめ、いろいろな派があり、それぞれに独特の慣習がありますが、それらにとらわれることなく実践できることを、ここでは紹介していきたいと思います。

 

現代の浄土真宗寺院が抱える共通の悩み

深刻な門徒離れ、寺の後継者問題

このサイトに来てくださった方は「浄土真宗のことをもっと知りたい」というお気持ちの強い方だと思います。

そんな方に、いきなりこのような話をしては申し訳ないのですが、浄土真宗が抱えている問題について、ぜひ知っていただきたいことがあり、少し述べたいと思います。

浄土真宗本願寺派(西本願寺)の内部調査によれば、この30年で100を超える寺院が廃寺となり、約6割の住職が、「20年後の寺院維持は難しい」と感じているといいます。

寺院護持(寺院の運営を維持していくこと)は決して浄土真宗本願寺派だけの問題ではなく、各派に共通した悩みと言えるでしょう。もしかしたら、今、読んでおられるあなたも、同じ悩みを抱えるお一人かもしれません。

では、なぜ寺院の維持が難しくなってきたのでしょうか?
その背景には、深刻な門徒離れや、寺院の後継者問題があります。

 

なぜ門徒が離れていくのか?

全国には都市部から農村部に至るまで数多くの寺院が存在します。

「なぜ、うちの村にはこれほど多くの寺があるのだろう?」
と疑問に思われる方も少なくないでしょう。

これは、それだけ多くの先達が浄土真宗を大切にされ、寺院の建立を望み、教えを聞き求めておられたからと言えるでしょう。寺院は、教えを聞かせていただきたいという御門徒の強い要望により、尊い浄財(お布施)によって建てられました。

 

寺院は「教えを大切に聞かせていただきたい」という御門徒によって、先祖代々、大事に維持管理されてきたのです。

ところが、寺院の維持管理が難しくなっているということは、「親鸞聖人の教えを聞かせていただきたい」という人が少なくなっている表れと言えます。

では、親鸞聖人の教えを聞きたい人が、なぜ少なくなっているのでしょう?

これは、残念ながら「教えを伝えていないから」というほかありません。
事実、浄土真宗の葬儀や法事に足を運ぶ機会は多くても、法話を聞く機会は滅多にありません。

御門徒の方でも、どれほどの方が日ごろから浄土真宗のみ教えに親しんでおられるでしょうか。

 

これは御門徒より、教えを伝える住職の方に責任があるといえます。御門徒の多くは「親鸞聖人の教えを聞き求めるものだ」ということさえ知らされていないのですから。

親鸞聖人がどんな方なのか、浄土真宗がどんな教えなのかが分からなければ、「大切にしよう」という思いも出てきません。

 

ただでさえ不景気の昨今、経済的に余裕のある家庭はほとんどないでしょう。それなのに「(お布施を)出せ、出せ」と言われたら、門徒をやめたいと思って当然です(もちろん、お布施は心からさせていただくものであって、強要するものではありません。割り当てなんて以ての外です)。

 

住職の後継ぎがいない

以前、宗教・文化専門紙の中外日報で寺院後継者に関する問題が報じられたことがありました。

 

本願寺派では、僧侶となるために京都・桂の西山別院で11日間の研修を受けます(得度習礼という)。

 

ところが、
「『浄土真宗本願寺派』と正式名称が書けない」
「七高僧が書けない」
「白衣を着ることができない」
などが得度習礼の受講者の現状として確認されたというのです。

 

他にも、
「法座の席で聴聞した経験がない」
「得度に来てやっているという態度が見受けられる」
などの問題点が挙げられ、中には「ご門主て何者なの?」とあぜんとするようなことを平気で口にする受講者もいると、記事は報じていました。

 

このような人に寺院の後を継がれたら、御門徒が可哀想です。
寺院の後継者が問題が如何に深刻かが分かります。

寺院の後を継ぐのは、生易しいことではありません。大変に重い責任があります。それ故、後を継ぐ人がなかなかいないというのはもっともでしょう。

 

望む人はあっても任せられる人がなかなかいないのならまだしも、望む人さえ現れないのは悲しいことです。

重い責任があるということは、それだけ素晴らしい職務であるからです。

 

その職務が素晴らしいのは、尊い親鸞聖人の教えをお伝えする責任があるからと言えるでしょう。

 

後を継ぎたい人が現れないのは、親鸞聖人の教えの尊さが伝わっていないからとは言えないでしょうか。

門徒離れの問題同様、親鸞聖人の教えをお伝えしていくことで、後継者問題も解決に向かうに違いありません。

浄土真宗の住職、門徒総代、門徒は何をすれば良いのか?

NHKの人気番組「クローズアップ現代」で、「岐路に立つお寺~問われる宗教の役割~」というテーマで放送がありました。

 

その中で、ゲストの識者が「仏教」「寺」「僧侶」の3つに良いイメージを持つかどうか、アンケートをした結果を紹介していました。

 

  • 仏教……90%
  • 寺………25%
  • 僧侶……10%

 

仏教には良いイメージを持つものの、寺院や僧侶になると極端に印象が悪くなるのは、いったいどうしたことでしょうか?

 

大衆に仏教が受け入れられなくなっているのではなく、あくまで寺院や僧侶から人が離れている実態が浮き彫りになった結果と言えるでしょう。

 

このようなことから、寺院や僧侶が、仏教とかけ離れた存在になってしまっていることが伺えます。

 

浄土真宗の住職として、葬式や法事で一生懸命に心を込めて読経をしても、参列者にはその意味がわからず、

 

「あの人、いったい何をやっているの?」
「坊主丸儲けって、このことね」
「お経を読むだけなんて、楽なもんだ」

という声も聞こえてきて、感謝される方もおられる反面、冷たい視線を感じることもあるようです。

 

浄土真宗の門徒総代を引き受けた方は、それこそ何もわからず、住職から頼まれたことをやろうとするものの、御門徒から聞こえる寺院への不平や不満の対処に追われる門徒総代も少なくありません。

 

「尊い仏様のみ教えに、もっとふれられる」

「皆さんに喜ばれる」

 

と期待して、浄土真宗の門徒総代になったのに、

「こんなはずではなかった」

という後悔の念さえ出てくる始末。

 

浄土真宗の御門徒であれば、家の宗旨だからということで寺院や他の御門徒と関わりながらも、わけが分からないまま、とにかくお金だけがかかるので、悶々と不平や不満を抱えている、という方もあるでしょう。

 

このような現状を何とかしたい、という思いから、このサイトを訪れた浄土真宗の住職や門徒総代、御門徒の方も少なくないと思います。

 

浄土真宗の住職には、門徒総代には、やらなければならない大切な使命があります。

それを知り、自ら実践することで、御門徒が喜ばれ、皆さんから必要とされる存在であることがお分かりになることでしょう。

 

御門徒の方は、親鸞聖人の教えの素晴らしさを知ることで、御門徒としての誇りを持てるようになります。また、家族、親戚、知人、友人にも「ぜひ、知ってもらいたい」と伝えずにいられなくなるはずです。


このネット講座が、浄土真宗の素晴らしさを知り、今後のがんばりのきっかけになれば幸いです。

 

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