なぜ浄土真宗の門徒が離れていくのか?
浄土真宗の寺院から、門徒が離れていく原因をどのようにお考えでしょうか?
もしかしたら、時代の変化や価値観の多様化によるものと思っておられる方もあるかもしれません。
「核家族化が進んだから」
「文化水準が上がったから」
など、門徒がお寺に寄り付かない原因を、浄土真宗の住職や門徒総代、門徒同士でもいろいろと話し合っていると聞きます。
何とか参詣者を募ろうと、落語やライブを企画するなど、苦労している様子も伝わってまいります。
では、世の中の価値観が変われば、お寺に人は集まるようになるのでしょうか?
落語やライブによって、人はお寺に通うようになるでしょうか?
よく考えてみればお分かりになると思いますが、そのようなことで門徒が離れていく問題は解決できません。
教えを変えれば良い?
中には、
「親鸞聖人の教えが、現代社会と合わなくなったからだ。
現代社会のニーズに合わせて、教えも変えていかないといけない」
という人もあります。
仏教の教えをよく理解しておられないから、そのようなことを言われるのでしょう。
仏教は、三世十方を貫く道理を教えられた教えです。
三世十方を貫くとは、どんなことか少しご説明しましょう。
三世十方を貫くとは
「三世」とは、過去、現在、未来のことで、わかりやすく言えば「いつでも」ということです。
「三世を貫く」とは、いつでも成り立つ、いつでも変わらない、ということです。
ですから、何千年前も、今日も、何千年後の未来でも成り立つこと、変わらないこと、通用するものが三世を貫くものです。
また、「十方」とは、東西南北上下四維のことで、「どこでも」ということです。
「十方を遍く」ということは、どこでも成り立つ、どこでも変わらない、ということです。
日本でも、中国でも、アメリカでも、ヨーロッパでも、どこへ行っても変わらないこと、通用するものが十方を遍くものです。
仏教は、いつでも、どこでも変わらない道理を教えられた教えですから、時代や場所、その人その人の価値観の影響を受けません。
価値観によって変えなければならない教えであれば、それは真実を教えられた教えとは言えないのです。
浄土真宗の御門徒が離れる本当の原因はどこにあるのか?
浄土真宗の門徒が離れていく原因は、シンプルです。
それは、
「浄土真宗の教えを求める理由がわからないから」
に他なりません。
浄土真宗のご住職、また門徒総代をしておられる方は、ハッキリしておられるでしょうか?
なぜ、私たちは親鸞聖人の教え、浄土真宗の教えを求めるのでしょうか?
「阿弥陀仏のお慈悲に抱かれて、感謝のお念仏の日暮らしをさせていただくためじゃないの?」
ならば、「阿弥陀仏のお慈悲」とは何でしょう?
「感謝」とは、何に感謝するのでしょう?
弥陀のお慈悲がわからないまま、「感謝しましょう」「お念仏させていただきましょう」では、理解することが困難で、誰もわかりません。
事実、
「浄土真宗の教えがわからない」
「念仏に、どんな意味があるのですか?」
「親鸞聖人は何を教えられた方なのか教えてほしい」
「正信偈の意味が知りたい」
という声があふれています。
教えを求めてこられた御門徒の方々に、
「そんなことは知る必要はない」
ということは、絶対に言ってはならないことです。
親鸞聖人のお言葉をお示しして、その意味がわかるように、懇切丁寧に親鸞聖人の教えられたことを話をすることが浄土真宗の住職、門徒総代の大切な使命です。
浄土真宗の教えを求める御門徒のお気持ちをよく知ることが大切ですから、いくつかご紹介しましょう。