浄土真宗の御門徒にどう接するのが良いか?
浄土真宗の御門徒の方々に、どのように接するのが良いのでしょうか?
浄土真宗の中興の祖と仰がれる蓮如上人に、まずはその精神を学ばせていたただきましょう。
蓮如上人は、本願寺8代目の法主に就任された際、寺に大工を入れ、本堂にあった「御亭」といわれる、上段の席を取り壊されました。
それまでの法主は、色衣を着て朱塗りの、一段高い「御亭」から、門徒を見下ろすように説法していたのです。
けげんな周囲の人々に蓮如上人はおっしゃいました。
「開山聖人(親鸞聖人)は『親鸞は弟子一人も持たず候』と仰せられている。阿弥陀如来の前では、みな『御同朋』『御同行』、兄弟であり、仲間なのだ。私はこれから、門徒の人達と、平座で話をするつもりだ。色衣も無用の長物、墨染の衣で十分だ」
蓮如上人のご説法は、かんで含めるようにわかり易く、権威ぶった難解な仏教用語はできるだけ避け、初めての人にも理解できるような法話は、各地で、圧倒的な支持を得たのです。
やがて、各地から、蓮如上人を慕って門徒が参詣するようになりました。
蓮如上人は、遠方からの門徒に道中の労をねぎらうため、冬は熱燗や雑煮で、夏は、冷やした酒でもてなし、面会を求める門徒は、待たせてはならず、すぐ取り次ぐようにも命じておられます。
食事面でもいろいろと気を配られたと記録にはあります。
「蓮如上人の御時、申し付けた雑煮をふと取り寄せて、まずご自分で味を見たところ、ひどく塩辛く、味も悪くこしらえてあった。蓮如上人はだれがこの雑煮を作ったのかと問い、料理人を注意し、遠国からはるばる上洛してきた親鸞聖人のご門徒に、このようにまずい料理を出すとはけしからぬことだと叱られた」
このような蓮如上人の門徒へのお気持ちの源泉はどこにあったのでしょうか?
それについては、蓮如上人のご遺言から知ることができます。
あわれあわれ、存命の中に
皆々信心決定あれかしと朝夕思いはんべり、
まことに宿善まかせとはいいながら、
述懐のこころ暫くも止むことなし。
(御文章4帖目15通)
85歳で亡くなられた蓮如上人の最後のお文です。
「どうか皆さん、命のあるうちに、早く信心決定の身になってもらいたい。蓮如の念じ続けていることは、このこと一つです」
とおっしゃっています。
信心決定(しんじんけつじょう)とは、生きている今、阿弥陀仏に救い摂られて、大安心・大満足の世界に出させていただくことです。
信心決定した人は、死後、必ず阿弥陀仏の浄土に往生できますが、信心決定していなければ、絶対に浄土往生はできません。
だからこそ蓮如上人は、「一日も片時も急いで信心決定しなさいよ」と命懸けに勧められ、御門徒の方々を、間違いなく阿弥陀仏のお浄土へ導かねばならない、という崇高な願い一つに生き抜かれたのです。
このような蓮如上人の御心を、浄土真宗の住職、門徒総代はよく知って、御門徒の皆さんにお伝えしていくことが大切です。
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