浄土真宗でお線香をたくのは?
仏前で勤行する時には線香をお供えします。
線香は香木や香草を粉にし、練ったものですから、たくと煙とともによい香りがします。それが人間の体臭を消すとして、阿弥陀仏への礼儀に使われるようになりました。
大事な人に会う時、失礼のないよう注意を払います。
まして私たちを本当の幸せに救ってくださる阿弥陀仏には、なおさらです。線香は、汚れた体で阿弥陀仏に向かわぬよう、芳香で身を清める意味があるのです。
また、「線香が燃え尽きて冷えた灰となるのを、自分が火葬場で焼かれて灰となることに例えてみなさい」とも教えられます。
ゆっくり燃えていた線香も、勤行が終わると一筋の灰となっています。同様に今、生きている私も、幻のごとき一生が過ぎ去れば、火葬場で一つまみの白骨となります。
有名な「白骨の章」には、
「さてしもあるべき事ならねばとて、
野外に送りて夜半の煙と為し果てぬれば、
ただ白骨のみぞ残れり。
あわれというも中々おろかなり」
〝どんなに大事な人でも、命絶えれば、いつまでもそのままにはしておけない。間もなく葬儀の相談が始まる。野辺送りをすれば、残るものは一つまみの白骨だけ。これが人間の結末である〟
と蓮如上人は警鐘されています。
忙しい忙しいと日々を送っているまま、私たちは夜半の煙へと近づいています。勤行でたく線香に、わが身の無常を問い詰め、阿弥陀仏一仏に向かうご縁とさせていただきましょう。
※香炉
お線香をたくところが香炉です。
3本足の1本が手前に来るように置きます。
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